こんにちは、製造工場に20年以上勤務している「taka」です。
20年以上働いていて感じたことは、中小企業では安全に関する教育資料や規定がない企業が多いと思いませんか?
私も中間管理職となり、上司や社長より「部下に安全教育はしているのか?」とよく言われますが、教育を受けていない私が、何を教えればいいかわからない状況になっていました。
そこで、今回の記事は、製造工場で【安心・安全・健康で働くために】従業員への教育資料として、ご活用していただけたらうれしいです。
職場にはさまざまな危険がある!
職場にはさまざまな危険が潜んでいます。ここから、職場での災害事例を紹介します。
職場は危険がということ、いつでも災害は発生するということを理解させ、何が原因で災害が発生したかを理解させることが大切です。
又、災害に合わないためには何が必要かよく考えさせ、理解させることが重要です。
【労働災害事例①】機械に巻き込まれた!
1 労働災害の発生
- 仕込み工程で、チョッパーに投入した大豆が詰まった。
- チョッパーの運転を停止しないまま、詰まった大豆(チョッパー最上部のホッパー部分)を手で取り除こうとした。
- 思いのほか深く手が入り、ホッパー内部にあるスクリューフィーダーに触れ、手が巻き込まれた。
2 不安全な作業
- 被災者が、チョッパーの動力を停止しないまま調整作業を行った。
- 食品機械の危険性に関する知識、意識が不十分であった。
3 安全な作業のために
- 職場には、食品機械をはじめ、様々な危険があることを理解する。
- 機械の掃除、調整(トラブルを含む)などの作業では、必ず機械を止めること。
- 作業手順書には、危険を避ける方法が含まれているので、必ず作業手順を守ること(安全装置、非常停止スイッチなど)。
【労働災害事例②】機械に巻き込まれた!
1 労働災害の発生
- フランジにボルト穴を開けるため、部品をラジアルボール盤の台に治具等で固定し、ボール盤の刃を交換した。
- 回転しているボール盤の刃に右上腕部が作業服ごと巻き込まれ、身体を回転させられながら宙吊りの状態となった。
2 不安全な作業
- ラジアルボール盤の刃部を回転させていたこと。
- 被災者の右上腕部が、何らかの理由によりラジアルボール盤の刃部と接触したこと。
3 安全な作業のために
- 準備作業では、ラジアルボール盤の主軸正逆転スイッチを停止位置に入れること。
- ラジアルボール盤の刃の付近に、非常停止機能等を設置すること。
- 回転中のラジアルボール盤の刃部及び回転部に、手等身体の一部を近づけないこと。
- 関係労働者でリスクアセスメントを実施し、安全作業手順書を作成すること。
- 安全作業手順書を、ラジアルボール盤等を使用する労働者に周知、再教育を行うこと。
【労働災害の傾向】
労働災害の傾向としては、
「経験年数の少ない者に労働災害が多発!」しています。
経験年数1年未満が24%と多く、3年未満の者の労働災害は42%と非常に多くを占めています。
経験年数は少ない、《未熟練労働者の労働災害の傾向》としては、「機械でのはさまれ・巻き込まれが多い!」
機械にはさまれたり、巻き込まれたりの災害が、3割近くを占めています。
どのような災害がどの程度発生しているかを理解させ、危険への意識を高めることが大切です。
「かもしれない」で危険を意識する!
「かもしれない」意識で作業をしましょう!
職場は危険だということを理解させることが、安全な作業の基本です。
危険感受性を高める取り組みは色々ありますが、作業行動について「かもしれない」という意識を持たせることで危険を認識させましょう。
安全な作業は正しい服装から!
決められた服装をきちんと着用することの大切さを理解させることが大切です。
- 作業時は定められた安全な服装を着用する。
- 作業服装は身体にピッタリした軽快なものとする。
- 長袖の場合は袖口を締める。
- 刃物やドライバー、ドリルなどをポケットの中に入れて作業しない。
- タオルや手ぬぐいを首に巻いたり、えり巻き、ネクタイなど巻き込まれるおそれのあるものは着用しない。
- 保護具は正しく着用
- 作業内容により保護メガネを付ける。
- 安全靴を正しく履く。
保護具が必要な作業については、何故必要なのか、使用上の注意点も理解させることが大切です。
決められた作業手順を守る!
決められた作業手順の重要性を理解させ、その遵守の徹底を図りましょう。
職場にはたくさんの危険があります。
職場で決められた作業手順は、安全で効率よく作業するためのルールです。
作業手順を守り、自分の命を守りましょう。
- 定められた作業手順(作業標準)をきちんと守り、それ以外の方法で作業しない。
- 安全装置の必要性を十分理解し、外したり無効にして作業しない。
- 作業手順書に示されている作業手順を繰り返し練習し体得する。
- 安全上やるべきこと、やってはならないことをよく理解する。
- 作業手順がわからない時は、そのままにせず責任者へ必ず確認する。
- 慣れによるケガに注意し、軽はずみな動作や強引な動作をしない。
安全装置や非常停止装置などは、実際に本人に作動を経験させ、その必要性や実践を体得させておくことが大切です。
4S、5Sの励行で安全を高める!
4S・5Sの必要性と重要性を理解させ、習慣づけることが大切です。
- 整理 いるものといらないものを分け、いらないものは処分する。
- 作業効率が上がり、転倒災害の危険も減ります。
- 整頓 いるものを使いやすく、わかりやすく収納する。
- ムダな時間が減り、品質も向上します。
- 清潔 汚れを取り除いて身の回りをきれいにする。
- 製品の品質向上、食中毒予防、異物混入防止が図られる。
- 清掃 機械設備、机回りなどの汚れやゴミを除去する。
- 機械設備の機能維持、転倒災害の危険も減ります。
- 習慣 決められたことをきちんと守る。
- 繰り返しで、意識しないでも自然に安全、衛生な行動ができるようになる。
4Sが不十分だと・・・
4S活動が不十分な職場だと「5つの問題」が発生する可能性が非常に高くなります。
4S・5Sによる効果をよく理解させ、安全(衛生)な行動を徹底させましょう。4S・5Sの徹底は、作業の効率化のためにも、安全・衛生のためにも必要です。
ヒヤリ・ハット活動
ヒヤリ・ハット活動(HH活動)とは
仕事をしていて、もう少しで怪我をするところだったということがあります。
この「ヒヤっとした」、あるいは「ハッとした」ことを取り上げ、災害防止に結び付けることが目的で始まったのが、「ヒヤリハット活動」です。
ハインリッヒの法則
多くの労働災害を分析すると、1件の死亡・重症災害が発生した場合、それと同じ原因で29件の軽傷災害が、また同じ性質の無償災害が300件伴っていることがわかりました。
これをハインリッヒの法則といいます。
この300件のヒヤリ・ハットを減らすことで、軽傷災害、重傷災害を減らすことが期待できますので、死傷災害を事前に防止するための有益な情報ということになります。
ヒヤリ・ハット活動で危険意識を高める
ヒヤリ・ハットは、職場にある危険を理解するための大変貴重な情報です。通常のヒヤリ・ハット活動以外に次のように活用することもできます。
- 未熟練労働者に職場にどのような危険があるかを分かりやすく認識させることができます。
- ヒヤリハット報告をすることで、危険感受性を高めることが出来ます。
- ヒヤリ・ハット情報をもとに、危険予知訓練やリスクアセスメントを行うと、より身近な活動になります。
ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)
アメリカの損害保険会社の安全技師であったハインリッヒが発表した法則です。
「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害(死亡や手足の切断など大事故のみではない)があったとすると、29回の軽傷(応急手当だけですむかすり傷)、傷害のない事故(傷害や物損の可能性があるもの)を300回起こしている。」というもので、
300回の無傷害事故の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。
また、ハインリッヒは、この比率について、鉄骨の組立と事務員では自ずから異なっているとも言っていますが、比率の数字そのものではなく、事故と災害の関係を示す法則としては、現在も十分に活用できる考え方です。
同様の研究としては、バードの事故比率があり、297社の175万件の事故報告を分析して、1(重傷又は廃失):10(傷害):30(物損のみ):600(傷害も物損もない事故)の比率を導き出しています。
危険予知訓練(KYT)
危険予知訓練で危険意識の向上を
危険予知訓練は、事業場や作業に潜む危険と、それにより発生する災害について話し合い、特定の危険に対する意識を高めて作業することで災害を防止しようというものです。
危険予知訓練の実施方法
【安心・安全・健康】な職場へ
職場には、多くの危険が潜んでいます。安全に健康で働くためには、規律・規定を「守る・守らせる」ことが重要です。
部下に指導する立場になると、「守らせる」ことの大変さに気づきました。
皆さんも【安心・安全・健康】で働ける職場を作っていきましょう!
こちらの記事も参考にしてみてください
【製造工場の課長に必要なスキル!】
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